この記事は旅行二日目です。一日目の記事はこれ


 はい。二日目。どん。

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あめです よろしくおねがいします

 「特に何も起きないだろう」ことを予期させる画像。三浦半島の海岸散策なんてのは雨降ってちゃ始まらないんですよこれが。ちょうど宿の近くになんか豆腐と美術館のフュージョンみたいな建物があって、実は以前そこに入るために観音崎まで来たこともあるのだけど、はっきり言って今は旅行中なので美術館なんか入りたくないんですね。芸術作品への知識は多少持っていたとて、芸術作品を受容する感性なんてもんは俺にはない。仕方がないので成行き的にまた観音崎公園辺りを散策することにしたんです。

 公園内になんかウミウシとかヒトデとかを展示している博物館があるというので行ってみたところ、連休明けた翌日という日にちが災いして見事に休館してました。その途中で花がいろいろ植わっているコーナーがあったりしたのでヒガンバナの写真を撮るなど。

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ワー(彼岸島)
ハァ(彼岸島)


 ……いや、本当にこの日はやることが無かった。いっそのこと東京湾フェリーで対岸まで渡ってしまおうとも考えたのだけど、本日はマイカーでの旅行だったのでフェリーでマイカーを運ぶ運賃が馬鹿にならず撤回。かといって雨天の中ひたすら三浦半島の海岸線を散策するのもなんか微妙。一体俺たちゃどうすりゃいいんだ――!?


???「ばっかお前……俺がついてるだろ」

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 画像は再掲です。

 そうこの観音崎灯台、維持管理費として300円払うことで上の部分まで登れるタイプの灯台なのだ。内部見学可能な灯台は地味に珍しいべ、別にあんたのことなんか興味ないんだからねっ! た、たまたま他に見るものがなかったから仕方なく来ただけなんだからねっ! か、勘違いしないでよね……

 高さ20mに満たない灯台であるが、灯台の入り口の扉からは隙間風の音がしていて、20mの気圧差ってそんなに大きいものかなあと首をかしげるなどする。内部は全体的に狭い。そりゃあ展望台じゃないからな。混雑時には譲り合いが必要そうだ。

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 上に登ってみるとこのような景色。この写真からでは全く伝わらないが、伝えられる写真を撮る余裕がないくらいには風が強い&足場が狭い。しかも排水のためか足場が結構外側に傾斜しているので安定感がない。この不安感、一度でも風の強い日に灯台に登ったことがあれば分かっていただけるだろうが……。地上にいるときは風の強さなど気にならなかったが、障害物の無いところに来てみると途端に体を持っていかれそうなほどの強風。台風接近時などはとても歩けたもんじゃないだろうと笑っていた当時の私は、その時本当に台風が接近していたことを知らなかったのである。

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 現役の灯具も間近に観察することができる。近代以降の灯台を象徴する回転フレネルレンズである。……これを語るのに多くの言葉は必要ない。ただ「色っぽい」の一言である。これも一人の男性として生まれ育った因果か知らないが、冷静に見ればなんてこともない一つの物体、一つの形状に対し、どうしようもなく劣情を掻き立てられてしまう虚しさといったらない。

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 再び建屋の外に出て、強風に耐えながら撮影した写真。構図的にカメラの画面を見ることができなかったので、当てずっぽうに4枚撮ったうちの一つである。……しかしなんとも頼もしい姿。灯台のたもとには"霧いかに深くとも嵐強くとも"などという句碑が立っていたが、まったくその通りではないかと思った。



 さて灯台から降りた後は大したネタも残っていなかったため、スパに入ってとっとと帰ることにしたのであるが、そういえば一日目の記事でスパの内容を記述してなかったため、ここで軽く記すこととする。

 利用料堂々の2500円を誇るSPASSOという銭湯は、観音崎京急ホテルの付属施設であり、宿泊者なら無料で利用できる(ちなみに、二食付きの宿泊プランをGotoトラベル35%割引にかけると、レストランでの食事代+SPASSO利用料と大差ない額になる。もう色々めちゃくちゃである)。ここは女湯と男湯で設備に差異が設けられているタイプの銭湯で、女湯にはツボ湯や炭酸湯、ミストサウナがある一方、男湯にはゲルマニウム浴槽および気温90度の高温サウナと気温-10度のクーリングルームが用意されている。ここの管理者は男性を金属加工品かなんかだと思っているのだろうか。

 ここの風呂は展望も自慢なようで、大きなガラスの窓越しに、あるいは露天風呂の柵越しに、浦賀水道が一望できる。といってもこの一帯、基本的にどこにいても浦賀水道は見えるのだが。ホテルからも、美術館からも、灯台からも、それどころか道路からも普通に見える景色なのだが。もう観音崎にいる限り浦賀水道の景観から逃れることはできず、むしろ我々が浦賀水道に監視されているかのような錯覚すらおぼえる。あのコンテナ船も、あのバルク船も、あの東海汽船のジェットフォイルも、みんなこっちを見てるんだ。恐ろしい恐ろしい。

 ちなみにここの露天風呂は温泉である、というか、油壷温泉の水をここまで持ってきているらしい。それは温泉じゃないだろと言いたくならなくもないが、しかし冷静に考えればどこの温泉施設であっても、源泉からパイプラインかなんかで水を持ってきたものを天然温泉として提供している。パイプラインがトラックになったからと言って、実質的には大差ないのかもしれない。油壷温泉は「化石海水」と宣伝されるような古代の海水を含むモール泉で、ほとんど塩水というくらい大量の塩分を含んでいる。古代の海水というのにこんなにガバガバ汲み上げてたらいつか枯渇するんじゃないかと心配になるが、総じて人類の営みというのは取り返しがつかないことの方が多いので気にすることもないのかも。

 ここはやたら高い利用料のおかげか比較的すいている印象で、しかし閑古鳥というわけでもない。コロナうずの昨今においてはちょうどいい利用率といったところ。そういえばスカジャン着た人がいた。横須賀人って本当にスカジャン着るんだ。大阪人が本当にお好み焼きをおかずに白米を食べていた並みの衝撃である。

 SPASSOから出ると、まるでチベット仏教の儀式でも行っているかのような鐘の音が聞こえてきたので「横須賀にもチベットの人いるんだ」などと驚いていたが、その音は炭酸湯を提供するためSPASSOに運び込まれる炭酸ガスボンベがぶつかり合うことで発せられる音であった。高い圧力に耐えるための構造が功を奏したのだろう(演奏とのダブルミーニング)。とてもmeditationな気分になったところで今日の旅行は終了し、普通に帰った。以上。おみやげはない。